メッセージ

理事長 禿 了修

美(うるわ)しい世をひらく灯(ともしび)となるために

福井仁愛学園は、1898(明治31)年に、「婦人仁愛会教園」として創立され、2008年(平成20)に110周年を迎えることができました。

学園名の「仁愛」は、広く支えあって生きる人間の在り方を意味する「仁」と人間のみでなくすべてのいのちの共生と敬愛の思いを意味する「愛」です。学園創立の理念である「仁愛兼済」とは、この仁と愛の心を自分の生き方の基盤とし、世のため人のために役立つことを悦びとする聖徳太子の精神です。

福井仁愛学園では、この建学の精神に基づき、大学院、大学、女子短期大学、女子高等学校、幼稚園を設置して、時代の要請に応えつつ、地域の発展を支える多くの人材を輩出してきました。

今後とも、建学の精神を継承して、社会のために役立つことに悦びを見出す人間の育成を目指し、更なる努力を続けてまいります。

学園長 禿 了滉

真の「生きる力」を

いま日本の教育では「生きる力」議論が盛んです。しかし、これまでも生きる力をもった主体性のある人間養成をと願いながら、寒々とした人間喪失の現象が続出しているのはなぜでしょうか。それは本当の生きる力は、限りなく「生かされている」いのちの発見から生れてくることを見落としているからだと言いたいのです。

福井仁愛学園は110年余の歴史を通して一貫して「生かされあういのちの感動」から出発することの大切さをアピールしてきました。学園名の仁愛も、生かされあいつながりあう人間関係を意味する「仁」と、人間をこえてすべてのいのちに拡がっていく「愛」に主軸を置き、親・祖先とのつながり(いのちの深さ)、人々とのつながり(いのちの広さ)、自然とくに食物を通して他の生命とのつながり(いのちの重さ)、その根源にあってすべてのいのちを輝かそうとするいのち本来の働き(いのちの尊さ)の四つの気づきをそれぞれの学習段階に応じて実現し、そこから生れる「学ぶ意欲」「思いやる暖かさ」「役立つ喜び」、そこから生れる「生きる力」を大切にしてきました。現代社会の趨勢に、いまこそ出番という気概をもって歩みを進めたいと願っています。